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コラム
2026.10.17

精子の数や運動率が低いのはなぜ?

精子の数や運動率が低いのはなぜ?

– 男性不妊の主な原因と検査の流れ –

精液検査で精子の数や運動率が低いと言われると、「生活習慣を見直せば改善するのだろうか」と考える方もいるかもしれません。しかし、その背景には医学的な原因が関わっていることもあります。

今回は、精子の数や運動率が低くなる主な原因について、「精子はどこでつくられ、どこを通って、どう出てくるのか」という3つの視点から整理してご紹介します。

つくる:造精機能障害

ひとつめは、精子をつくる働き自体に問題がある場合です。
精子の数が少ない、運動性が良くないなどの多くは、精子をつくる働きに問題があることから起こり、これを造精機能障害といいます。

原因としては、精巣から心臓へ血液を戻す静脈(精索静脈)がこぶのように拡張してしまう精索静脈瘤、下垂体や視床下部から分泌されるホルモンの異常、子どものころに精巣が陰嚢まで下りてこなかった停留精巣の既往、おたふくかぜなどによる精巣炎の影響などが知られています。

中には、精液の中に精子がまったく確認できない無精子症や、精子の数が極端に少ない乏精子症につながるケースもあります。
精巣そのものの機能低下によって精子がつくられにくくなっている無精子症は、非閉塞性無精子症と呼ばれます。
ただし、これらの中には検査によって原因を特定でき、原因に応じた治療法が確立されているものも少なくありません。

運ぶ:通過障害

ふたつめは、精子はつくられていても、それを運ぶ通り道に問題がある場合です。
精巣でつくられた精子は、精管という管を通って精巣上体付近に貯められ、尿道を通って体外へ射精されますが、この通り道のどこかがふさがっていたり、狭くなっていたり、なかには生まれつき欠損していることで、精子が精液中に出てこられなくなります。また、鼠径ヘルニアの手術を受けたことがある方は、その影響で精管に傷ができていることもあります。これらを精路通過障害といいます。

精液所見では、精液中に精子が1個もない無精子症や精子の数が極端に少ない乏精子症がみられることがあります。
この場合の無精子症は、精子をつくる機能そのものは保たれていることが多いため、閉塞性無精子症と呼ばれます。非閉塞性無精子症とは異なり、通り道さえ確保できれば精子を得られる可能性があり、手術によって通り道を再建できる場合もあります。

出す:射精の問題

みっつめは、射精に関わる問題です。
精液が体外ではなく膀胱側へ逆流してしまう逆行性射精などがこれにあたります。

糖尿病や特定の手術の影響、一部の薬剤の影響で起こることがあり、この場合は精液量そのものが極端に少なくなったり、ほとんど出なかったりすることがあります。
また、腟内で射精ができない腟内射精障害や、十分な勃起が得られない勃起障害(ED)など、性行為そのものに関わる問題も、妊娠を難しくする要因のひとつです。
これらは精子そのものの状態とは別の問題ですが、自然な妊娠を目指すうえでは大切なことです。

精子の通り道と、つくる(造精機能障害)・運ぶ(精路通過障害)・出す(射精障害)の3つの原因の場所を示した図

自分を責めないで

ここまで読んで、「自分が悪いのかもしれない」と感じた方もいるかもしれません。しかし、ここで紹介したような原因の多くは、自分の注意で防ぐことができるものではありません。

精液所見が思わしくないことは、ご自身を責める理由にする必要はありませんし、あなた自身が悪いことをしているわけでもありません。
大切なのは、原因を知り、そのうえでふたりの赤ちゃんを迎えるために何ができるかを考えていくことです。

検査と治療の流れ

こうした原因を調べるためには、まず精液検査を行い、必要に応じて血液検査によるホルモン値の確認や、超音波(エコー)検査などを組み合わせて診断していきます。
検査の結果、原因がはっきりすることで、内服治療や手術、生活指導など、それぞれに合った対応を選択できるようになります。

原因がわからないまま不安を抱え続けるよりも、検査を受けて現在地を知ることのほうが、次の一歩につながりやすいといえます。

精液検査、医師の診察、必要に応じた詳しい検査、治療・手術・生活改善、体外受精・顕微授精へと進む流れの図

ふたりで、体外受精について知る

妊活は女性だけのものではなく、ふたりで取り組むものです。
パートナーが検査や治療を受けているなかで、男性側だけが「自分は大丈夫だろう」と検査を先延ばしにしてしまうと、原因の特定や治療の開始が遅れてしまうこともあります。気になることがあれば、ひとりで抱え込まず、パートナーと話し合いながら、一緒に受診を検討してみてください。

まずは、ご自身の精液の状態を知ることからはじめてみませんか。
精液検査の基準値や、検査を受ける前に知っておきたいことについては「精液検査で何がわかる? – 基準値の目安と検査を受ける前に知っておきたいこと -」でご紹介していますので、あわせてご覧ください。

原因によっては、体外受精や顕微授精といった生殖補助医療が、次の一歩になることもあります。
妊娠や出産というと、女性や卵子が主役のように語られがちですが、男性や精子も、同じように大切な役割を担っています。
よしひろウィメンズクリニックでは、体外受精について詳しくお伝えする説明会を行っています。
おふたりで一緒に説明を受けることで、治療の流れや選択肢について、同じ情報を共有しながら考えていくことができます。気になる方は、ぜひパートナーと一緒に足を運んでみてください。
原因を知ることは、不安を長引かせるためではなく、これからの選択肢を広げるための第一歩です。

よしひろウィメンズクリニックの体外受精説明会

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