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コラム
2026.10.29

卵子の質は上げられる?

卵子の質は上げられる?

卵子の状態を良好に保つために

妊娠し、赤ちゃんを迎えるためのポイントの1つに、卵子の質があります。「卵子の質を上げたい」と考えて、「食生活やサプリメントがいいのでは?」と検索する人も多いのではないでしょうか。

けれど、そもそも「卵子の質」はどういうものなのでしょうか。この記事では、卵子の質と卵子の質を上げることはできるのかについて、お話しします。

そもそも「卵子の質」とは?

「卵子の質」とひと言で表現されますが、実際には、卵子の成熟度、染色体や遺伝子の状態、卵子そのものの状態など多くのことが含まれています。

そして、この卵子の質には、年齢が大きく関係しています。
ただし、今、卵巣にある卵子の質が一律であるわけではありません。

年齢を重ねても、赤ちゃんを迎えられるということは、「赤ちゃんになる卵子はある」、つまり「赤ちゃんにつながる可能性のある卵子がある」といえます。

卵巣の中にある卵子は、年齢とともに染色体の状態にも変化が生じ、染色体の異常が増加することが報告されています(※1)。

また、年齢に伴って卵巣に残される卵胞数も少なくなるため、妊娠につながる可能性のある卵子に出会う確率も低くなってきます。

※1:Gruhn JR, et al. Science. 2019;365:1466-1469. doi:10.1126/science.aav7321

毎月の1個を排卵するために

では、毎月の1個を排卵するために、どれだけの卵胞が育っているのでしょうか。

月経周期では、複数の卵胞が発育を始め、その中から通常は1個の卵胞が成熟し、1個の卵子が排卵します。つまり、多くの卵胞から1個が排卵されるのです。
しかし、排卵される卵子だけが「赤ちゃんにつながる卵子」とは限りません。

排卵されなかった卵胞の中にも、赤ちゃんにつながる可能性のある卵子があるかもしれません。そのため体外受精では、卵巣を刺激して多くの卵胞を発育させ、複数の卵子を採取します。

これは、卵子の数を増やせば卵子の質が高まるということではありません。1つでも多くの赤ちゃんにつながる卵子を得る機会を増やすために行います。

1つでも多くの赤ちゃんにつながる卵子を得るために

卵子の状態を保つために、自分でできること

年齢に伴って起こる卵子の質の変化を上げる、若返らせることは現代の医学ではできません。しかし、今の「卵子の質」を「できるだけ保つ」ことについては、可能性があります。


① 日常生活に注目する

「採卵数を増やすには?体外受精で知っておきたいこと」でもお話ししたように、日常生活を整えることは、採卵の日をより良い体調で迎えるために大切です。

それには、睡眠・バランスの良い食事・適度な運動、喫煙・飲酒・適正体重などに注目することも重要です。

② 抗酸化に注目する

卵子は、活性酸素・酸化ストレスに弱いことがわかっています。

抗酸化とは、体の中の細胞が「活性酸素」によって傷つけられる(酸化する・サビる)のを防ぐ働きのことです。

本来の酸素は穏やかで安定していますが、活性酸素は形やバランスが崩れていて、そのままではいられない状態になっています。

そのため、形を整えようとして近くにある正常な細胞を巻き込み、傷つけて(サビさせて)しまいます。また、活性酸素は、年齢を重ねるごとに体内で発生しやすくなります。

さらに、年齢とともに、活性酸素を抑え込む力(抗酸化力)も衰えていくため、体の中が傷つきやすい状態になってしまいます。

これが卵胞に起こると、卵子の質に影響します。活性酸素を取り除き、抗酸化力を上げるためには、日常生活を健康的に送ることもポイントになってきます。
たとえば、ビタミンCとEは、抗酸化に役立ちます。ビタミンEは油に溶けやすいため、主に「細胞の壁」をサビから守ります。一方、ビタミンCは水に溶けやすいため、主に「血液など」の中から活性酸素を取り除く働きがあります。

これらをセットで摂ることが、抗酸化に役立ちます。ただし「抗酸化=卵子の質が上がる」ではありません。

妊活期に意識したい主な栄養素の例

妊活期に意識したい主な栄養素の例

③ ミトコンドリアに注目する

卵子のエネルギー量に関わる重要なのがミトコンドリアです。

ミトコンドリアは、私たちの細胞1つひとつの中にある「エネルギーをつくる工場」のようなものです。しかし、年齢とともにミトコンドリアの数は減る傾向にあります。すると、エネルギーをつくる量が減るだけでなく、細胞を傷つける活性酸素が多く出てしまうようになります。

ミトコンドリアは、運動などで増やすことが期待できます。たとえば、早歩きとゆっくり歩きを数分ずつ交互に繰り返すような、少し息が上がる程度の負荷を体に与えることにより、体が「エネルギーが足りない」と判断し、ミトコンドリアの数が増えるといわれています。

また、エネルギーづくりに大切な豚肉やレバー(ビタミンB群、鉄分)、工場の若々しさをサポートする青魚(オメガ3脂肪酸)やコエンザイムQ10などを意識して摂ることでも、ミトコンドリアの数を増やすことにつながるといわれています。

ただし、運動やサプリによって卵子のミトコンドリアを増やせば卵子の質が上がる、卵子の質を維持するというところまではいえません。

④ サプリメントに注目する

「卵子の質を上げる方法」「卵子を若返らせる方法」としてサプリメントを探すのではなく、今ある卵子をできるだけ良好な状態に保つためのサポートと考えることが大切です。

たとえば、今周期に排卵される卵子が、赤ちゃんにつながる卵子と仮定してみましょう。赤ちゃんにつながる卵子ですから、質の良い卵子といえます。それには、まず卵胞が順調に発育・成熟して排卵されなければなりません。

このとき、必要十分な栄養が届けられなければ、この赤ちゃんになる質の良い卵子は栄養不足となり、本来の力を発揮できないまま、排卵されるかもしれません。

サプリメントは、日々の食生活では不足しがちな栄養素を補うものとして活用します。どのようにサプリメントを選ぶかは、自分自身の食生活を見直すこと、また年齢によってつくられる量が減る栄養素もあり、これらは意識して摂取することが大切です。

どのようにサプリメントを選べばいいのかと悩む時は、医師や看護師に相談してみましょう。

卵子の質を「上げる」ではなく「保つ」を意識

卵子の質を上げることを考えるよりも、今ある卵子をできるだけ良好な状態に保つことを意識することが大切です。
日々の生活や食事など、自分でできることから取り入れていきましょう。
そして、妊娠につながるためには、卵子だけでなく、精子や受精の過程も関係します。

次回は、「受精率を上げるには? 卵子と精子、そして受精の方法」と題して、卵子と精子、そして受精についてお話しします。

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