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コラム
2026.10.28

採卵数を増やすには?

採卵数を増やすには?

体外受精で知っておきたいこと

体外受精を受けるうえで、「できるだけ多く採卵したい」と思うのは自然なことです。
卵巣刺激をがんばったのに、採卵できた卵子数が考えていたよりも少なかった場合、その先の治療についても不安になることもあるでしょう。

では、採卵数を増やすには、どうすればいいのでしょうか。
この記事では、体外受精における採卵数と卵巣刺激法、セルフケアについてお話しします。

採卵数は何で決まる?

体外受精では、移植できる胚を得るために、複数の卵子を採卵することを目指して卵巣刺激を行います。

1回の採卵で得られる卵子の数は、とても重要です。なぜなら、採卵できた卵子のすべてが移植できる胚になるわけではなく、受精・胚発育の途中で数が減っていくからです。
そのため、1回の採卵でできるだけ多くの卵子を得て、身体的・経済的負担の大きい採卵を何度も行わず、複数回の胚移植につなげられることが理想です。

採卵できた卵子が5個の場合と2個の場合で、移植できる胚の数と胚移植の回数がどう変わるかを示した図

卵巣刺激法にはいくつかの方法があり、その周期に発育する卵胞数や卵巣の反応などを見極めながら、選択することになります。

卵巣刺激法は、卵子の数そのものを増やすわけではありません。採卵周期(卵巣を刺激し、採卵を目指す治療周期)に育つ卵胞のできるだけ多くを成熟卵胞へと発育させ、成熟した卵子を採卵することを目指します。

つまり、採卵数は、採卵周期の月経3~5日目に両方の卵巣に確認できる胞状卵胞(Antral follicle:AFC/これから排卵に向けて大きく育とうとしている段階の卵胞)の数よりも増えることは、基本的にはありません。

胞状卵胞の数や、月経3~5日目のFSH値(卵胞刺激ホルモン。月経初期の値は、卵巣機能を知るための指標の一つ)、AMH値(卵巣にある卵胞数の指標で、採卵できる卵胞数の目安となる)などを確認し、適切な卵巣刺激法が提案されます。

卵巣刺激法と採卵数の関係

卵巣刺激法は、単に卵巣を刺激して卵胞を育てればいいというものではありません。

その人の卵巣の機能状態、卵巣の反応のクセ、月経周期初期の胞状卵胞数、これまでの治療歴などを踏まえて、その人の、その周期に合った卵巣刺激法を選択していきます。

それには、軸となる刺激法だけでなく、用いる薬剤の種類や投与量、投与するタイミングなども含まれます。これらを決めてから卵巣刺激を開始しますが、実際には卵胞の発育を見ながら、用いる薬剤や投与量を調整することもあります。

用いる薬剤には、さまざまな種類があります。
たとえば、クロミフェンやレトロゾールなどの経口薬は、エストロゲンの働きを抑えることで、自分の体が分泌するFSH(卵胞刺激ホルモン:卵胞を育てる働きがある)の分泌が続くようになり、卵胞が発育します。
一方、注射薬にもいくつか種類がありますが、卵胞の発育に必要なホルモンを外から補うことで、その発育を促します。

薬の種類や投与量によって卵巣への働き方は異なりますが、薬の量を増やせば、育つ卵胞数が増えるというわけではありません。もともとの卵巣機能や、その周期に発育することが予想される胞状卵胞数などが関係しています。

だからこそ、その人の、その周期に合った刺激法を検討することが大切です。
卵巣刺激や、その方法に関する詳しい説明
よしひろウィメンズクリニック「こだわり抜いた排卵誘発・胚移植法」

採卵数を多くするためのセルフケアとは?

日常生活の見直しや改善が、直接採卵数を増やすことにつながるとは、基本的にいえません。
その周期に採卵できる可能性のある卵胞は、実は3カ月以上前から少しずつ育ってきた卵胞です。

卵胞数を増やすというよりも、その周期に採卵が見込まれる卵胞を、1つでも多く、採卵できる成熟卵胞へと育てることが大切です。そこで、卵巣刺激法は、その人の、その周期に合った方法が提案され、それを選択していきますが、実際に育てるのは自分の体です。

日常生活を整えることは、採卵の日をより良い体調で迎えるために大切です。それには、睡眠・バランスの良い食事・適度な運動、喫煙・飲酒・適正体重などに注意し、良い状態で卵胞を育て、採卵に臨めるようにしましょう。

採卵の日に向けて整えておきたいこと(睡眠・バランスの良い食事・適度な運動・喫煙と飲酒の見直し・適正体重・生活習慣)を示したイラスト

血流を整えることも、ひとつのポイント

血液は、すべての臓器に新鮮な栄養と酸素を届け、不要になったものを運びます。卵胞の発育に必要なホルモンや薬剤なども、血液によって運ばれます。

サラサラの血液で、ハリや弾力のある血管であれば、血流も良く、新鮮な栄養と酸素が卵胞により良く届けられることが期待できます。

ただ、今の血流の状態を調べることは難しいため、良し悪しを判断するよりも、今より良い状態に、あるいは今の状態を保てるように、健康状態を整えることが大切です。

「血流を良くすれば採卵数が増える」とはいえませんが、治療を受ける体のコンディションを整えることにつながります。それには、先ほどお話しした日常生活の見直しや改善がポイントになってきます。

卵巣刺激の不安や採卵当日の痛みについては、「卵巣刺激って怖くない? 痛くない?」「採卵って痛い?」でもまとめています。

大切なのは「採卵数」だけではない

採卵数が多ければ必ず妊娠につながるとはいえません。


採卵できた卵子のうち成熟卵子の割合や、その後の受精・胚発育なども関係します。胚の発育には卵子だけでなく、実際には精子の状態や質も関係しています。そのため、採卵数に加えて、卵子と精子、そしてその後の胚発育まで考えることが大切です。

卵子の面では、数が多くても質が良くなければ、良い胚になることは期待しにくくなります。この質は、年齢と大きく関係しています。

あなたは、生まれた時にすでに、一生分の卵胞を卵巣に蓄えています。

卵胞は、排卵される予定の周期まで長い間、眠っています。実は、眠っている間も少しずつ発育していますが、この間は、月経周期のホルモンの変化にも、卵巣刺激法で用いる薬にも影響を受けません。
影響を受けるのは、排卵周期に入った卵胞です。

排卵周期に入ると、卵胞は月経周期のホルモンの変化に反応して発育・成熟し、排卵を迎えます。体外受精では、刺激法で用いる薬に反応して卵胞は発育します。ただし、眠っていても年齢は重ねます。

そのため、今周期に排卵、または採卵される卵子は、あなたと同じ年齢です。年齢を重ねれば、肌のハリや髪のツヤが変化するように、卵子にも変化が現れます。
肌のハリや髪のツヤは、食事や睡眠などの日常生活や、外からのケアによって、ある程度状態を保つことができます。けれど、卵子は肌や髪とは違い、外から栄養を与えれば若く保てるというものではありません。ただ、体外受精を行うことで、受精率や胚盤胞到達率、妊娠率などから、卵子の状態をある程度知る手がかりが得られます。

今よりも卵子の質を上げることは難しいのが現実です。
それでも、今の質をなるべく長い期間保つことは、できるかもしれません。

次回のコラムでは「卵子の質は上げられる? 卵子の状態を保つために」をお話しします。
ぜひ、読んでみてください。

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