凍結胚移植はいつがベスト?
体外受精(IVF)・顕微授精(ICSI)における凍結融解胚移植のタイミングをやさしく解説 –
不妊治療のなかでも体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)では「凍結融解胚移植」を勧められるこケースが多くあります。 「凍結融解胚移植は、いつ戻すの?」という疑問は、多くのカップルが抱いていることでしょう。 また、凍結・融解・胚盤胞・グレードなど専門用語も多くなると戸惑ってしまうこともあるでしょう。そこでこの記事では、「凍結融解胚移植(凍結胚移植)とは何か」、「移植のタイミングはどう判断するのか」「なぜそのタイミングが大切なのか」などをわかりやすく説明します。
そもそも「凍結融解胚移植」とは?体外受精(IVF)・顕微授精(ICSI)で行われる移植方法
体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)で得られた受精卵は、インキュベーターに守られ、培養液から栄養をもらって発育していきます。受精後3日目頃には細胞が8個ほどに、5日目頃には将来赤ちゃんになる細胞と胎盤になる細胞に分かれた胚盤胞へと発育します。この胚盤胞を液体窒素を用いて凍結保存し、採卵した周期以降に子宮に戻すのが「凍結融解胚移植」です。
この方法は、採卵後すぐに戻す新鮮胚移植とは異なり、
1、子宮内膜を着床に適した環境に整えることができる
2、胚の発育段階と子宮内膜の「着床の窓」を合わせられる
3、ホルモン環境を安定させやすい
などから妊娠率が高い方法として注目され、体外受精の胚移植法として主流になっています。
また、胚を凍結することで、移植時期をライフスタイルや体調などに合わせられることも大きなメリットで、焦らず、丁寧に準備していける移植方法でもあります。
よしひろウィメンズクリニックでは、着床環境を整えやすく、移植時期を調整しやすいことから、着床につながりやすい胚盤胞での凍結融解胚移植(凍結融解胚盤胞移植)を積極的に取り入れています。
凍結融解胚移植の移植はいつ?タイミングの基本的な考え方
● 凍結融解胚移植で用いられる治療周期と移植日の決め方
凍結融解胚移植を戻すタイミングを考えるうえで大切なのは、子宮内膜が胚を受け入れやすい状態(着床しやすい環境)かどうかです。 凍結融解胚移植では、月経周期やホルモンの状態、子宮内膜の厚さなどを確認しながら、着床に適した環境して移植を行います。 「いつ戻すか」は日数で決まるものではなく、その人の、その周期の内膜やホルモン環境などの状態から判断します。
● 凍結融解胚移植までのステップ(採卵・受精・胚の凍結保存)
① 採卵・受精 。胚の凍結保存
IVFやICSIで卵子と精子を受精させた後、胚盤胞まで発育した胚を凍結します。
複数の胚ができた場合は、複数回の胚移植をすることが期待できます。
② 凍結融解胚移植で用いられる主な治療周期と移植日の決め方
【ホルモン補充周期移植】凍結融解胚移植はいつ戻す?
エストロゲンやプロゲステロンなどのホルモン剤を用いて、子宮内膜を着床に適した環境に計画的に整えてから移植を行う方法です。
内膜の厚さやホルモン環境を安定させやすく、移植日をあらかじめ計画できるという特徴があります。
子宮内膜の厚さやホルモン値を確認しながら、「排卵(黄体化)から何日目に移植するか」を決めていくため、現在は多くの医療機関で、凍結融解胚移植の方法として採用されています。
【自然周期移植】排卵に合わせた移植日はいつ?
ご自身の排卵に合わせて移植日を設定する方法で、自然なホルモンの変化を利用します。
排卵が安定している方や、できるだけ薬を使わずに治療を進めたい方に選択されることがあります。
排卵日を正確に見極め、その排卵日を基準に5日目胚盤胞であれば「排卵後5日目」の子宮内膜・ホルモン環境に移植を行う必要があり、エコー検査や血液検査のための通院回数が増えたり、直前で日程調整が必要になることもあります。
【排卵誘発周期移植(クロミフェンなど)】移植タイミングはいつ?
クロミフェンなどの服用する排卵誘発剤を用いて排卵を促し、その周期に合わせて移植を行う方法です。
自然周期では排卵が不安定な場合などで選択されることがあります。
現在は、自然周期やホルモン補充周期に比べると、採用される頻度は高くありませんが、体の反応や治療歴によっては選択されることもあります。
ただし、クロミフェンによる子宮内膜が厚くならないという副作用の心配があります。そのため子宮内膜が薄い、厚くなりにくい方には向かない方法とされています。
これらの治療周期は、ホルモン値や子宮内膜の厚さ、これまでの治療経過などを確認しながら、医師と相談して決めていきます。 よしひろウィメンズクリニックでは、ホルモン補充周期による移植が主流となっています。

③ 胚を融解し、移植
移植日が決まったら、凍結していた胚を融解し、最適と判断されたタイミングで子宮へ戻します。カテーテルという細い管を用いて、痛みなく静かに行われます。
凍結融解胚移植で、なぜ「子宮の準備」が大切なの?
不妊治療では、胚が着床するための「タイミング」と「環境」を整えることが、妊娠への大きなカギになります。
凍結融解胚移植は、この「子宮の準備」を調整することができるという点が大きな特徴です。
メリット①:子宮内膜を着床しやすい状態に整えられる
凍結融解胚移植では、採卵とは別の周期で移植を行うため、子宮内膜の厚さやホルモン環境を着床に特化して調整することができます。
その結果、胚が着床しやすい環境をつくりやすく、妊娠率が高目ることが期待できます。
メリット②:体への負担が減る
一度の採卵で複数の胚を凍結できれば、採卵を繰り返す必要がありません。
1回目の移植で妊娠につながらなかった場合でも、体への負担を抑えながら次のチャンスに進められ、精神的な負担を軽くすることにもつながります。
また、妊娠・出産につながった際には、第二子、第三子を治療を胚移植から始めることができます。
メリット③:OHSS(卵巣過剰刺激症候群)のリスクを抑えやすい
排卵誘発によるホルモン刺激で卵巣が過剰に反応すると、OHSSが起こることがあります。妊娠が成立すると重症化することもあるため、そのリスクを回避するために胚を凍結し、卵巣の腫れが引き、OHSSの心配がなくなってから移植を行います。
凍結融解胚移植では、採卵周期と妊娠を目指す移植周期を分けられるため、こうしたリスクを回避することができます。
※OHSS(卵巣過剰刺激症候群)について
OHSSは、排卵誘発により卵巣が強く反応した場合に、起こることがあります。卵巣の腫れ、腹水が溜まる、血液が濃くなるなどの症状が出ることもあります。
ただし、すべての方に起こるわけではなく、治療内容や体の反応によってリスクは異なります。
● 凍結融解胚移植はいつ移植するのがいい?治療の進め方と気持ちの整え方
「できるだけ早く移植したい」という気持ちは、とてもよくわかります。焦りや不安が心を離れない方も多いはずです。
ただ、子宮の状態を整えることは妊娠への確率を上げるために大切な準備です。
待つ間は自分の体をいたわり、体調管理やストレスケアを意識する時間にすることもひとつの選択です。
ふたりのライフスタイルやスケジュールから、いつ胚移植をするかを決めることができます。
まとめ
凍結融解胚移植は「状態とタイミング」で決まります。
ポイントは3つ
1、凍結融解胚移植は、自分の体と向き合いながら最適なタイミングを待つ移植法です。
2、子宮内膜が整った時が、移植のベストなタイミング。焦らず、気張らず、リラックス!
3、胚は液体窒素で安全に保存でき、必要に応じて補充することで長期間保存することができます。
「いつ戻したらいいの?」という疑問は、ふたりのライフスタイルやあなたの体の状態の様子から医師との相談の中で決まっていくものです。焦らず、あなたの体と心を大切にしながら進んでいきましょう。
妊娠への一歩一歩が、あなたの希望につながりますように。