【最新】不妊治療・体外受精の料金完全ガイド2026
不妊治療を始めるにあたり、最も気がかりなのが「いったいいくらかかるのか」という現実的な問題です。本記事は、2026年5月時点で確実に把握できる情報のみに基づき、不妊治療・体外受精にかかる費用と、保険診療・助成金・高額療養費制度・医療費控除など利用可能な制度を整理しています。
2022年4月の保険適用開始以降、自己負担は大きく軽減されましたが、依然として「先進医療」として自費負担となる治療も残ります。さらに2026年4月以降は東京都の助成制度が拡充され、同年8月には高額療養費制度の改正も予定されています。費用面での見通しが立てば、治療への一歩を踏み出しやすくなります。本記事が、ご夫婦のお話し合いと資金計画の参考になれば幸いです。
2022年4月~:不妊治療の保険適用とその範囲
2022年4月の診療報酬改定により、これまで自費だった一般不妊治療(人工授精)と生殖補助医療(体外受精・顕微授精)が保険適用となりました。自己負担は原則3割となり、体外受精1周期あたりの自己負担は保険適用後でおおむね15万円~25万円が一般的な目安です(採卵数・薬剤量・施設により変動)。
保険適用の対象条件
- 治療開始時点で女性が43歳未満であること
- 体外受精・顕微授精は通算6回まで(40歳以上43歳未満は3回まで)
- 婚姻関係(事実婚を含む)にある夫婦であること
保険適用される主な治療・検査
- 一般不妊治療:タイミング法、人工授精(AIH)
- 生殖補助医療:採卵術、体外受精管理料、顕微授精管理料、受精卵培養管理料、胚移植術、胚凍結保存管理料
- 関連検査:ホルモン検査、感染症スクリーニング、超音波検査、精液検査 ほか
保険適用外(先進医療・自費)の主な治療
- タイムラプス撮像法による胚培養
- ERA検査(子宮内膜受容能検査)
- SEET法、二段階胚移植法
- PGT-A、PGT-M(着床前遺伝学的検査)
- 卵子凍結(医学的適応外のもの)
これらの治療は2024年4月の診療報酬改定後も先進医療の扱いが継続されており、2026年5月時点でも依然として自費です。ただし、先進医療部分は保険診療と併用が認められており、東京都など一部自治体では先進医療費用に対する独自助成が設けられているため、実質的な自己負担はそれより軽くなる場合があります。
2026年4月~:東京都の不妊治療助成金が大幅拡充
2026年4月以降に治療を開始した方を対象に、東京都は不妊治療助成制度を大幅に拡充しました。これまでは保険適用外の先進医療部分が助成の中心でしたが、新制度では保険適用治療の自己負担分も助成対象に含まれます。
東京都新制度の概要(2026年4月以降開始の治療が対象)
- 1回の治療につき上限15万円を助成
- 保険適用治療の自己負担分も助成対象(新設)
- 先進医療部分も継続して助成対象
- 年齢制限:治療開始時点で妻が43歳未満
- 回数制限:40歳未満は最大6回、40歳以上43歳未満は最大3回
- 居住要件:夫婦いずれかが継続して都内に住民登録
- 申請受付開始:2026年10月1日以降を予定
注意点として、すでに高額療養費制度や健康保険の付加給付で払い戻しを受けている金額がある場合は、その金額を差し引いたうえで助成額が決まります。また、申請期限は治療終了後の所定期間内ですので、最新の運用ルールは東京都福祉局の公式情報を必ずご確認ください。
東京都以外の自治体でも独自の助成制度が用意されている場合がありますので、お住まいの市区町村の公式サイトを確認することをおすすめします。
2026年8月~:高額療養費制度の改正
2026年8月から、高額療養費制度の自己負担上限額が段階的に引き上げられる予定です(第1段階)。さらに2027年8月には所得区分の細分化(現行の5区分から12区分へ)が予定されています。不妊治療は採卵・胚移植を行う月に医療費が集中する性質があるため、この制度の活用は資金計画上きわめて重要です。
70歳未満の月額自己負担上限額(2026年7月までの現行制度)
| 所得区分 | 年収目安 | 月額自己負担上限 |
|---|---|---|
| 区分ア | 約1,160万円以上 | 252,600円+(医療費-842,000円)×1% |
| 区分イ | 約770万円~1,160万円 | 167,400円+(医療費-558,000円)×1% |
| 区分ウ | 約370万円~770万円 | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% |
| 区分エ | ~約370万円 | 57,600円 |
| 区分オ | 住民税非課税世帯 | 35,400円 |
※2026年8月以降の改定後上限額は厚生労働省の公式発表をご確認ください。
限度額適用認定証の活用
加入している健康保険組合(または協会けんぽ・国民健康保険)から「限度額適用認定証」を事前に取得し、医療機関窓口で提示すれば、上限額を超える窓口支払いが不要になります。採卵月など医療費が集中する月は、必ず取得しておくことを推奨します。
治療ステップ別の費用目安(2026年5月時点)
実際の自己負担額はクリニック・薬剤量・採卵数によって変動しますが、保険適用後の一般的な目安は以下の通りです。あくまで全国の主要施設の中央値であり、施設や個別の治療内容により異なります。
| 治療ステップ | 保険適用後の自己負担目安 | 主な費用要因 |
|---|---|---|
| 初診・基本検査 | 5,000円~10,000円 | 血液検査・超音波検査 |
| タイミング法 | 3,000円~5,000円/周期 | 排卵誘発剤の選択 |
| 人工授精(AIH) | 約12,000円/周期 | 精子調整・注入手技 |
| 体外受精(IVF) | 15万円~25万円/周期 | 採卵数・薬剤量・培養日数 |
| 顕微授精(ICSI) | 19万円~30万円/周期 | 顕微操作数(卵子1個ごとに加算) |
| 凍結胚移植 | 5万円~10万円/回 | 融解胚培養・移植手技 |
先進医療(自費)の費用目安
| 治療・検査 | 自費費用の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| タイムラプス撮像法 | 約35,000円~50,000円/周期 | 胚培養観察を非侵襲で実施 |
| ERA検査 | 約150,000円 | 反復着床不全に対する検査 |
| SEET法 | 約30,000円/周期 | 培養液を用いた子宮内環境調整 |
| PGT-A | 約50,000円~80,000円/胚 | JSOG認定施設での実施が必要 |
※先進医療は保険診療と併用可能で、自費部分のみ全額負担となります。東京都の助成対象施設で受診する場合、先進医療費用に対する助成が受けられます。よしひろウィメンズクリニック(YWC)も「東京都特定不妊治療(先進医療)助成」の指定医療機関ですので、要件を満たす患者様には申請に必要な書類を発行いたします。
自己負担を抑えるために活用できる制度

医療費控除
1月から12月までの1年間に支払った医療費の合計から10万円(または所得の5%のいずれか少ない方)を差し引いた金額が、所得控除の対象となります。不妊治療費・通院交通費・処方薬代も控除対象です。確定申告(e-Taxが便利)で還付請求します。
民間医療保険の先進医療特約
月額数百円程度の特約で、保険診療と併用された先進医療費用が給付される商品があります。給付対象は「保険診療と併用される先進医療」に限定されるため、全額自費治療(PGT-A単独実施・医学的適応外の卵子凍結など)は対象外となる場合が一般的です。加入中の保険証券の特約内容をご確認ください。
健康保険組合の付加給付
大企業の健康保険組合では、高額療養費制度に上乗せする独自の「付加給付」を設けている場合があります。自己負担の上限がさらに低くなることがありますので、勤務先の健保組合に確認することをおすすめします。
よくあるご質問(FAQ)
Q1.保険適用される治療はいつから、どこまでですか?
2022年4月以降、不妊症と診断された43歳未満の方を対象に、人工授精・体外受精・顕微授精が保険適用となりました。体外受精・顕微授精は通算6回まで(40歳以上43歳未満は3回まで)の回数制限があります。
Q2.採卵で卵が取れなかった場合、料金は返金されますか?
保険診療では返金制度はありません。採卵など実際の操作を行った時点で診療報酬点数が発生します。自費部分の返金規定はクリニックごとに異なりますので、ご確認ください。
Q3.PGT-Aは保険適用ですか?
2026年5月時点でPGT-Aは関わる手技(投薬や内診、採卵の処置等)すべてが自費です。実施には日本産科婦人科学会が定める認定施設での実施が必要で、対象条件(反復流産歴・体外受精反復不成功歴・年齢など)が定められています。
Q4.凍結胚の保存期間と料金は?
初年度の胚凍結保存管理料は保険適用です(個数により点数加算あり)。年次更新時の管理料はクリニックにより自費扱いの場合があります。具体的な金額・更新方法は各医療機関にご確認ください。
Q5.2人目不妊の費用と助成金は1人目と同じですか?
保険適用の条件は1人目と同じです。自治体助成については「第1子出生済みは対象外」とする自治体もありますので、お住まいの自治体の制度をご確認ください。
Q6.保険適用回数を使い切った場合はどうなりますか?
保険適用回数(胚移植通算6回または3回)を超えた治療は全額自費となります。回数の数え方は採卵を起算点とするルールが基本ですので、治療スケジュールの組み立ては主治医とよくご相談ください。
よしひろウィメンズクリニック(YWC)の治療方針と実績
ここまでは不妊治療一般の費用・制度をご紹介してきました。本節では「実際にYWCではどのような治療を、どのような体制で行っているのか」を、料金検討の参考情報としてまとめます。施設選びの際に「自分に合うかどうか」を判断する材料としてご活用ください。
当院の治療方針
- 卵巣刺激法:ほぼ全例でカウフマン療法を実施したのち、クロミフェン-FSH法、ショート法、PPOS法を中心に、患者様お一人おひとりの卵巣機能に応じてプロトコルを設計します。低AMHの方への対応経験も豊富です。
- 排卵誘発:自己注射で対応しています。
- 採卵:エコー下の局所麻酔で実施し、必要に応じて表面麻酔も併用します。採卵時間は11:00~14:00頃が中心です。
- 受精・培養:精子の状態により顕微授精(ICSI)を併用し、未成熟卵子は状態に応じて培養を行い、状況によっては1day old ICSI(採卵翌日にICSIを行う方法)も実施しています。基本は良好胚盤胞を凍結する方針です。
- 胚移植:基本的には凍結胚移植を行い(一部、新鮮胚移植にも対応)、移植法はホルモン補充周期を基本に、状況により自然周期も実施します。胚のグレード基準は独自の評価軸を設けています。移植から判定までは基本移植後10~14日です。
- 不育症・着床不全:不育症の検査については、杉ウィメンズクリニックと連携してご紹介しています。
通院・診察に関する情報
- 通院頻度の目安:採卵周期は7回~8回程度、移植周期は4回程度(妊娠判定まで)。
- 診察:予約制です。
- 事実婚の方:事実婚関係にあるご夫婦も治療をお受けいただけます。
- 転院:当院への凍結胚のお持ちだし、他院への凍結胚のお持ち出しも可能です。
- 託児:クリニックとは別フロア(同ビル内)に託児スペースがあり、現状は水曜・土曜の12時~15時にご利用いただけます。
- サプリメント:クリニック側から特定のサプリメントをお勧めすることは行っていません。
当院の費用目安
体外受精・顕微授精にかかる費用は、患者様一律で採卵~移植まで15万円~25万円程度(保険適用後の自己負担額)が目安です。卵巣刺激法・採卵数・追加で実施する先進医療の有無により大きく変動しますので、初診時に個別にお見積りをご説明いたします。
当院の治療実績
当院の院内集計データ(2020年~2023年)は次の通りです。
- 30~39歳の方の1回の採卵あたり妊娠率:71.4%(妊娠=胎嚢確認/2020年~2023年に行った採卵3,642周期、反復不成功例も全て含む)
- 30~39歳の方の胚移植1回あたりの妊娠率:60%(2020年~2023年・計2,515症例)
※上記は当院における院内集計に基づく数値であり、すべての患者様に同様の結果をお約束するものではありません。妊娠成立は年齢・卵巣機能・既往歴など多くの要因に左右されますので、ご自身の見通しは初診時の問診・検査結果をもとに主治医とご相談ください。
YWCで治療をお考えの方へ
よしひろウィメンズクリニック(東京都台東区上野)では、保険診療を基本としつつ、患者様一人ひとりの状態に応じて適切な検査・治療プランをご提案しています。費用面でご不安がある方は、初診時に料金体系の詳細をご説明いたしますので、安心してご相談ください。
当院は「東京都特定不妊治療(先進医療)助成」の指定医療機関です。要件を満たす患者様には、申請に必要な書類を発行いたします。費用と治療内容、ご家族のお気持ちのバランスを大切にしながら、無理のないペースで治療を続けていただけるよう、医師・看護師・受付・胚培養士がチームでサポートいたします。
関連記事:【2026年】体外受精(IVF)の費用はいくら?保険・助成制度・高額医療費用を解説
まとめ:2026年以降の不妊治療を、安心して始めるために
- 2022年4月~:体外受精・顕微授精が保険適用(自己負担3割)
- 先進医療(タイムラプス・ERA・SEET法)は2026年5月時点でも自費継続
- 2026年4月~:東京都の助成金が大幅拡充(1回上限15万円・保険治療の自己負担分も対象)
- 2026年8月~:高額療養費制度の自己負担上限が段階的に引き上げ予定(第1段階)
- 医療費控除・健康保険組合の付加給付・民間保険の先進医療特約も合わせて活用を
費用は確かに不妊治療の大きなハードルです。しかし、保険診療・助成金・高額療養費・控除制度を組み合わせることで、家計への負担を抑えながら治療を継続することは十分に可能です。「費用が心配で一歩を踏み出せない」という方こそ、まずは初診で正確な見通しを立てることをおすすめします。よしひろウィメンズクリニックでは、ご来院前のメールによるお問い合わせも承っております。
参考資料
本記事は、以下の公的情報をもとに2026年5月時点の制度を整理したものです。制度内容は今後変更される可能性があるため、最新情報は各公式サイトをご確認ください。
- 厚生労働省「不妊治療に関する取組」
- こども家庭庁「不妊治療に関する取組」
- 東京都福祉局「東京都特定不妊治療費(先進医療)助成」
- 厚生労働省「高額療養費制度について」
- 日本産科婦人科学会「PGT-Aに関する見解」